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2013年10月7日月曜日

どくキャラ総選挙2013プレビュー

どぐキャラ総選挙2013がいよいよスタートした。今年が第一回の開催だが、全国から21組もの「どぐキャラ=土偶(系)ご当地キャラ」が参加している(※1)。ゆるキャラグランプリ2013の参加キャラが1500を越えていることと比べると一見少なく感じるかもしれないが、「土偶(系)」という縛りがあることを考えると、予想以上の盛り上がりといえよう。すでに投票を済ませたという方もいるかもしれないが、どぐキャラについてよく知らないために投票に二の足を踏んでいる有権者も多いのではないだろうか。公式ページではそれぞれのプロフィールも紹介されているが、本記事でも一歩踏み込んで全候補の紹介と分析を行ってみたい。投票にあたっての参考としていただければ幸いである(※2)。


1 どぐキャラは「縄文時代のヒト形の遺物をモチーフとしたキャラクター」と 定義されており、土偶だけではなく、人面付土器や岩偶をモチーフにしたキャラクターも含まれる。ゆるキャラは基本的に着ぐるみの存在を前提としているようだが、どぐキャラについてはそのようなルールはない。
2 この記事はエントリー終了時点での情報を元にして書かれたものですが、土偶の日運営委員会の公式見解ではありません。

 北海道からは、二体のエントリーがあった。最北の候補者は旭川市博物館の「ドグー」である。特定の土偶をモデルとせずに土偶一般のイメージを具象化した、非実在系のどぐキャラである。オリジナルクッキーやストラップも販売されるなど地元での活動は精力的であり、これをどうネットでの投票行動に結び付けられるかが鍵となろう。道南の南茅部高校からは、北海道唯一の国宝である函館市(旧南茅部町)著保内野遺跡出土中空土偶(後期)をモチーフとした「茅空」がエントリー。地元の高校生がデザインしたというかわいらしいデザインで、どれだけ支持を伸ばせるか。
東北地方からは全体の半数を占める十体ものエントリーがあった。土偶の本場ともいえる青森県からは三つで、うち二つは世界遺産登録を目指す「北海道・東北地方の縄文遺跡群」の構成資産に所属する。「さんまる」は三内丸山遺跡出土の板状土偶(中期)をモデルとしたマスコットキャラクター。子供向けページ「サンマルタンケンタイ」のほか、地元のイベントには着ぐるみも登場する。遺跡の知名度は抜群なだけに、それをどう集票に結び付けるか。「いのるん」は風張1遺跡出土の国宝・合掌土偶(後期)をモチーフとした是川縄文館のキャラクターで、ミュージアム・キャラクター・アワード(以下MCA2011にも参加した。ツイッターでは語尾を「るん」で統一するなどキャラの立ったつぶやきを見せているが、自ら「気まぐれ」と認めるように、更新頻度にムラがあるのが気がかりである。「ドグ子」は山田スイッチ社の23OLという異色のどぐキャラで、段ボール製の着ぐるみ(というかかぶり物)がトレードマーク。民間企業(?)所属のどぐキャラは珍しいが、ブログなどによる同社の発信力は侮れない。
 全国最多の土偶出土数を誇る岩手県からは、いずれも岩手県埋蔵文化財センターに所属する四つのどぐキャラがエントリーしている。萪内遺跡の大型土偶頭部(後期)をモチーフとした「しだないさん」は全国屈指のスケールを誇る。手代森遺跡の遮光器土偶(晩期)の「アイちゃん」はオリエンタルで繊細なタッチが持ち味。泉屋遺跡の人面付注口土器がモデルの「いずみちゃん」は今回が全国初登場、一転してゆるさ全開のキャラである。夫婦石袖高野遺跡の蹲踞土偶(後期)の「こうやくん」は、そのポーズから縄文版・考える人とも言われている。いずれも持ち味が全く異なるキャラクターであり、同センター内でのポジション争いも気になるところ。
 秋田県からは白坂遺跡の笑う岩偶がモデルの「がんたくん」。今回の参加メンバー中唯一の非・土系キャラである。やや遅れての登場となったが、不敵な笑みで巻き返しを図る。
山形県から参戦の二体はいずれも西ノ前遺跡出土の国宝・縄文の女神をモチーフとしている。舟形町の「めがみちゃん」は地元の中学生のアイデアで2002年に誕生したキャラクターが、2012年の国宝指定を機に名前を変えて再デビューしたもの。ゆるキャラグランプリ2013にも参加するなど、精力的に活動している。山形県立うきたむ風土記の丘考古資料館の「うきたむ嬢」も同じ西ノ前土偶をイメージした縄文少女。同館を拠点に活動するほか、MCA2013にも参加した。ライバル対決の結果が注目される。
 宮城県からは仙台市縄文の森広場の「ハナちゃん」が登場。山田上ノ台遺跡出土のハート形土偶をモチーフとした女の子。キャラクター自体がかぶり物をしているタイプで、どぐキャラとしては珍しい。同じ仙台を本拠地とする楽天イーグルスに続き、旋風を巻き起こすことができるか。
長野県からは重要文化財が二つ登場となった。浅間縄文ミュージアムの「カワラダくん」は、御代田町川原田遺跡出土顔面把手(中期)をモデルとしている。シンプルな力強いラインで勝負する。伊那市創造館の「つくルン」は富県御殿場遺跡出土の顔面付釣手形土器(中期)の妹キャラで、MCA2012にも参加した。岩手の「いずみちゃん」と同じく土器キャラだが、人面付きということで「ヒト形の遺物」というどぐキャラ要件を満たしての参加である。
関東地方ではミミズク形土偶のどぐキャラが、栃木県・埼玉県・千葉県から参戦しており、ミミズク対決の様相を呈している。栃木県立博物館の「みーたん」は栃木市(旧藤岡町)後藤遺跡出土土偶(晩期)をモデルにしたもので、2011年の企画展「土偶の世界」に合わせて登場した。MCA2011に参加し、着ぐるみも作られていたが、最近露出が減っているのが気がかり。埼玉県埋蔵文化財調査事業団の「はーとん」は、鴻巣市赤城遺跡の中空ミミズク形土偶(晩期)がモデル。形はミミズク、名前はハート・・・少しややこしい。亀形土製品がモデルの「のっそりー」とコンビを組むが、今回はソロでの参加となった。野田市郷土博物館の「ミミー」は野田貝塚出土土偶(後期)がモデル。ストラップなどのグッズも展開されている。
縄文王国・山梨からは北杜市埋蔵文化センターの「チビーナス(たち)」がチームで登場。諏訪原遺跡出土の小型土偶(中期)を元にした、今回が実質デビュー戦のちびっ子達である。全国的な知名度不足をフレッシュさでどこまでカバーできるか。
土偶と同様にどぐキャラも東日本に多い傾向にあるが、西日本からも独特のポーズが印象的な2組が参加してくれた。三重県の「ダンシング☆テンちゃん」は松阪市天白遺跡から出土した土偶(後期)をモデルとしている。ロックンロール♪ダイちゃん・ジャンプ!ニキちゃん(いずれも古墳時代)とのトリオでMCA2013にも参加したが、今回はソロでの登場である。持ち味である華麗なステップを発揮できるか。今回の最西端の参加となったのが、高知県文化財団埋蔵文化財センターの「文蔵くん・まいちゃん」。土佐市居徳遺跡群出土の土偶(晩期)がモデルの兄妹キャラで、MCA2012にも参加している。両手指先を前で向き合わせたポーズが浸透すれば、台風の目となるかもしれない。

以上、二十一組のメンバーによって争われるどぐキャラ総選挙2013。どぐキャラ達による、熱い戦いに期待したい。

1 件のコメント:

  1. ご指摘を受けてカワラダくんのモデルについての記述を修正いたしました。

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